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GL非静脈瘤性上部消化管出血における内視鏡診療ガイドライン(2015)
GL大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン(2017)
治療のポイント
・吐下血,血便をきたし,可及的すみやかに内視鏡を行うことで改善が見込める場合,緊急内視鏡の適応となる.
・現病歴,既往歴,内服状況などから病態および出血部位を推定し,すみやかに専門医にコンサルトする.
・ショック状態など全身状態が著しく不良である場合は緊急内視鏡の禁忌である.
◆病態と診断
A病態
・上部消化管出血:一般に食道,胃,十二指腸からの出血を指す.血液が口から排出された場合を吐血,肛門より排出された場合を下血と表現する.血液は胃酸の影響で黒褐色を呈するが,食道を出血源とする吐血,および急激かつ大量の出血をきたした場合は暗赤色を示す.
・下部消化管出血:小腸および大腸からの出血を指す.十二指腸のトライツ靭帯から口側へは逆流しにくいため,血液は肛門から排出され,血便として認識される.一般的には暗赤色を呈する.
1.原因
・上部消化管出血の原因として,食道静脈瘤破裂(→,「食道静脈瘤の内視鏡治療」の項参照),マロリーワイス症候群,逆流性食道炎,胃・十二指腸潰瘍,腫瘍,血管拡張症,内視鏡治療後などがある.
・下部消化管出血の原因として,大腸憩室出血,虚血性腸炎,炎症性腸疾患,腫瘍,血管拡張症,内視鏡治療後などがある.
B診断
・問診,血液検査(血中ヘモグロビン値,BUN/クレアチニン比など),CT検査で活動性出血の有無,出血部位,出血量などを推定する.腹痛を伴う場合は消化管穿孔の可能性も否定できないことから,必ず内視鏡施行前にCT検査を行う.
・上部消化管出血は原則緊急内視鏡を行う.下部消化管出血のうち,大腸憩室出血および内視鏡治療後出血はしばしば大量出血をきたすことから,積極的に緊急内視鏡を行うことを考慮する.
・バイタルサインが安定している