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治療

胃食道逆流症・逆流性食道炎・食道潰瘍,バレット食道,食道裂孔ヘルニア
gastroesophageal reflux disease(GERD),reflux esophagitis,esophageal ulcer,Barrett's esophagus,hiatal hernia
伊原栄吉
(九州大学大学院准教授・病態制御内科学)

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GL胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)

ニュートピックス

・内科的治療が無効な場合や維持療法が必要なGERDに対して,内視鏡的逆流防止粘膜切除術が保険適用となった.

治療のポイント

・GERD患者の治療目標は,症状のコントロールと生活の質の改善に加えて,貧血・出血・食道狭窄・バレット食道・バレット食道腺癌の合併症の予防である.

・GERD治療の第1選択薬は,酸分泌抑制薬(従来型PPI:proton pump inhibitorとP-CAB:potassium-competitive acid blocker)である.重症逆流性食道炎,軽症逆流性食道炎および非びらん性胃食道逆流症の3つの病態に分類して,酸分泌抑制薬投与の治療戦略をたてる.

・酸分泌抑制薬治療と並行して,GERDのリスク因子を軽減するための食事および生活指導を行う.

・日常診療で治療に難渋するPPI/P-CAB抵抗性GERDには種々の病態が混在する.上部消化管内視鏡検査に加えて,専門施設での食道生理機能検査による病態評価が必要である.

・バレット食道を治療する必要はないが,特に(全周性に)3cm以上のバレット粘膜を認めるlong segment Barrett's esophagus(LSBE)は,発癌リスクを有するため経過観察が必要である.

・食道裂孔ヘルニアはGERDのリスク因子である.PPI/P-CAB抵抗性GERDや呼吸循環器の圧迫症状を認める場合,外科治療を念頭にいれる.

Ⅰ.胃食道逆流症・逆流性食道炎・食道潰瘍

◆病態と診断

A病態

・病的な食道酸曝露によって,胸やけ・呑酸の症状食道粘膜障害を認める状態である.

・食道酸曝露状態と食道知覚が関与する.胃食道逆流防止機能を担う下部食道括約筋部の機能不全,胃酸分泌過多,食道クリアランス不全,食道粘膜バリア障害が原因となる.

・胃食道逆流に起

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