診療支援
治療

潰瘍性大腸炎
ulcerative colitis(UC)
仲瀬裕志
(札幌医科大学教授・消化器内科学)

頻度 よくみる

GL炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020改訂第2版

GL潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針(2023)

ニュートピックス

・活動性潰瘍性大腸炎の新規治療薬剤として,α4 インテグリン阻害薬であるカロテグラストメチル(カログラ)錠,新規JAK阻害剤としてフィルゴチニブ(ジセレカ)錠,ウパダシチニブ(リンヴォック)錠が承認された.

治療のポイント

・潰瘍性大腸炎治療に関しては,上記厚生労働省研究班の診断基準・治療指針や,消化器病学会のガイドラインに従って,重症度,罹患部位別に治療を行う.

・治療の目的は,腸の炎症を抑えて,腹痛,下痢,下血,発熱などの症状を和らげ,患者が正常な社会生活を送れるようにすることである.

・重症例・劇症例では手術を常に念頭におき,外科とのコミュニケーションをとりながら薬物治療を進めていくべきである.

◆病態と診断

A病態

・潰瘍性大腸炎は主として粘膜を侵し,しばしばびらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸のびまん性非特異性炎症である.

・潰瘍性大腸炎の病態には,腸管粘膜バリア機能異常と免疫担当細胞の活性化が関連している.

・炎症の主座は大腸粘膜層である.

・病状は,寛解と増悪を長期にわたって繰り返す.

・炎症は通常,肛門に近い部位(直腸)から始まり,口側の結腸に向かって連続性に拡がっていく.

・炎症の範囲によって直腸炎型,左側大腸炎型,全大腸炎型に分類される.

・関節炎・結節性紅斑・壊疽性膿皮症・原発性硬化性胆管炎などの腸管外合併症を伴う.

B診断

・下痢や粘血便(血液・粘液・膿の混じった軟便),発熱や体重減少などの症状が主体である.

・潰瘍性大腸炎の診断に内視鏡検査は必須である.粘膜は発赤,浮腫状を呈するため,血管透見性が消失する.大腸粘膜表面は粗造で細顆粒状を呈する.膿性粘液の付着がみられることが多い.炎症が強くなるにつれて,潰瘍形成が認められる.

・内視鏡検

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?