診療支援
治療

大腸癌
colorectal cancer
岡 志郎
(広島大学大学院教授・消化器内科学)

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GL大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版

ニュートピックス

・大腸内視鏡検査のおける大腸癌の拾い上げや質的診断をサポートする人工知能(AI:artificial intelligence)を用いたcomputer aided detection/diagnosis(CAD)が実用化された.

治療のポイント

・大腸癌は,壁深達度,リンパ節転移の有無とその範囲,遠隔転移の有無によって病期(ステージ)が決定され,予後と関連する.

・治療の原則は,病変の内視鏡切除か外科切除であるが,切除不能と判断された転移・再発性大腸癌は化学療法の適応となる.

◆病態と診断

A病態

・大腸癌は,大腸粘膜から発生する上皮性の悪性腫瘍で大部分は腺癌である.癌の壁深達度により早期癌(粘膜下層までにとどまる癌)と進行癌(筋層より深い癌)に分類される.

・腺腫性ポリープから発生するルート(adenoma-carcinoma sequence),正常大腸粘膜から直接発生するルート(de novo cancer),鋸歯状病変からのルート(serrated pathway)が知られている.

・大腸癌の発生には,遺伝的素因と脂肪食などの環境因子が関与するとされている.また,リンチ症候群などの常染色体優性遺伝を示すものも知られている.

B診断

・自覚症状としては,進行癌の場合には血便便通異常などをきたすことがあるが,早期癌のほとんどは無症状である.

・診断のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査である.

・内視鏡検査に加えて,CT検査(必要に応じてPET-CT検査),MRI検査(直腸癌の骨盤部精査目的),注腸X線検査などが行われる.

・CEAやCA19-9などの腫瘍マーカーは,進行癌の術後再発や転移のモニターとして術後のフォローアップに有用である.

◆治療方針

 治療の原則は,病変の内視鏡切除か外科切除であるが,切除不能と判断された

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