Ⅰ.偽性腸閉塞症
頻度 あまりみない
◆病態と診断
・慢性と急性に分類し,さらに慢性は特発性と続発性にわける.
・慢性偽性腸閉塞症(CIPO:chronic intestinal pseudo-obstruction)は,消化管病変による原発性(primary),全身疾患や薬剤に伴う続発性(secondary),原因不明の特発性(CIIP:chronic idiopathic intestinal pseudo-obstruction)に分類する.
・原発性には,ヒルシュスプルング病(腸管無神経節症)やヒルシュスプルング病類縁疾患などがある.
・続発性には全身性硬化症や皮膚筋炎,アミロイドーシスに代表される消化管平滑筋を傷害する疾患,筋緊張性ジストロフィーに代表される消化管神経を傷害する疾患,甲状腺機能低下症のような内分泌疾患,ポルフィリン症に代表される代謝性疾患,薬剤性などがある.
・急性偽性腸閉塞症はOgilvie症候群ともよばれ,腹部手術後に発症することが多い.
・慢性特発性偽性腸閉塞症(CIIP):指定難病99の希少難病である.成人のCIIPの診断には,続発性の偽性腸閉塞を鑑別することが重要である.小児期のCIIPの診断においてはヒルシュスプルング病および類縁疾患の鑑別が重要である.散発性に発症し原因不明である.腹部膨満,嘔吐,便秘,下痢以外に成人では激しい腹痛をきたすことがある.小腸内細菌増殖症(SIBO:small intestinal bacterial overgrowth)による下痢,消化吸収不全,bacterial translocationが問題となる.
◆治療方針
栄養療法で初期対応し,非代償期には中心静脈栄養になる.血管アクセス欠乏や肝機能障害の進行により小腸移植の適応に進む場合がある.一方で減圧療法が重要であり,イレウス管,経胃瘻的空腸瘻(PEG-J:percut