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GL原発性胆汁性胆管炎(PBC)の診療ガイドライン(2023年)
ニュートピックス
・診療ガイドラインが追補2023年として改訂され,ウルソデオキシコール酸(UDCA:ursodeoxycholic acid)で効果不十分な場合,ベザフィブラート(BZF:bezafibrate)の併用が強く推奨される.
治療のポイント
・確立した根治的治療法はない.病期・病態に応じた対応を行う.
・UDCAは進展抑制効果が確認されており,第1選択薬である.
・UDCAで効果不十分な場合,BZF併用が推奨される.
・合併する他の自己免疫性疾患の把握,胆汁うっ滞や肝硬変への進展に関連する症候の治療が必要となる.
・薬物治療により生命予後は改善しているが,病態が進行した例は肝移植も考慮し専門医へコンサルトする.
◆病態と診断
A病態
・自己免疫学的機序が想定される慢性進行性の胆汁うっ滞性肝疾患である.中年以降の女性に好発するが,最近では男性の比率が上昇し診断時年齢が上昇する傾向にある.
・肝障害に基づく自他覚症状を有する症候性PBCと症状を欠く無症候性PBCに分類される.
・胆道系酵素(ALP,γGTP)の上昇を認め,約90%の症例で疾患特異性を有する抗ミトコンドリア抗体(AMA:anti-mitochondrial antibody)が陽性となり,診断的意義が高い.IgMの上昇も特徴である.
・肝内小型胆管が障害され,肝組織は慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC:chronic non-suppurative destructive cholangitis)が特徴である.進行すると胆管消失,線維化,胆汁性肝硬変へと進展する.肝細胞癌を伴うこともある.
・骨粗鬆症,脂質異常症が高率に出現し,シェーグレン症候群,関節リウマチ,慢性甲状腺炎など自己免疫性疾患を合併することがある.
B診断
・厚生労働省「難治性の肝・