診療支援
治療

自己免疫性膵炎
autoimmune pancreatitis
正宗 淳
(東北大学教授・消化器病態学)

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GL自己免疫性膵炎診療ガイドライン2020

治療のポイント

・原則として有症状の場合,ステロイド治療の適応となる.

・プレドニゾロンの経口投与が基本であり,0.6 mg/kg/日を2~4週間継続投与したのち,1~2週ごとに漸減する.

・寛解導入後,3年間を目途に低用量のステロイド維持療法を行う.

・ステロイドの長期投与に伴う副作用に対して,十分な注意が必要である.

 国際的には1型と2型に分類され,わが国では1型が大部分を占める.以下,1型について述べる.

◆病態と診断

A病態

・その発症に自己免疫機序の関与が疑われる膵炎であり,ステロイドが著効する.

・しばしば閉塞性黄疸で発症し,膵腫大や腫瘤を呈する.病理組織学的には著明なリンパ球・形質細胞浸潤,IgG4陽性形質細胞浸潤,花筵状線維化を特徴とする.

・IgG4関連疾患の膵病変と考えられており,硬化性胆管炎,涙腺・唾液腺病変,後腹膜線維症,腎病変など多彩な膵外病変を伴うことがある.

B診断

・「自己免疫性膵炎臨床診断基準2018」に基づき診断する.

膵腫大膵管狭細血清IgG4値,膵外病変,病理所見,ステロイドによる治療効果判定の組み合わせで診断する.

・膵癌,胆管癌など悪性腫瘍との鑑別が最も重要である.

◆治療方針

 原則として,閉塞性黄疸,持続する腹痛や背部痛,臨床的に問題となる膵外病変を合併するなどの有症状例がステロイド治療の適応となる.高度黄疸や糖尿病を合併する症例では,内視鏡的な胆道ドレナージや血糖コントロールを行ったうえでのステロイド治療開始が推奨される.骨粗鬆症をはじめステロイド長期内服による副作用の予防・リスク管理を行っていくことが重要であり,中長期的には膵外分泌機能不全に対する治療が必要となることも多い(,「慢性膵炎」の項参照).日本膵臓学会の「自己免疫性膵炎診療ガイドライン2020」も参照されたい.

A寛解導入

 初

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