診療支援
治療

血栓性微小血管症(溶血性尿毒症症候群,血栓性血小板減少性紫斑病など)
thrombotic microangiopathy:TMA(hemolytic uremic syndrome:HUS,thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)
加藤規利
(名古屋大学医学部附属病院・腎臓内科・講師)

頻度 あまりみない

GL血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド2020

GL非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド 2015

GL溶血性尿毒症症候群の診療・治療ガイドライン(2014)

ニュートピックス

・2022年に後天性TTPに対して,血小板とフォン・ヴィレブランド因子(VWF)の相互作用による血栓形成を阻害する抗体薬(カプラシズマブ)が保険収載された.

治療のポイント

・血小板減少を伴う溶血性貧血(LDH上昇,破砕赤血球の出現,ハプトグロビン値の著減を伴う)から,血栓性微小血管症(TMA)を正しく診断し,そのうえでTMAを引き起こした病因に応じた治療を選択する.

・病因の鑑別が時に困難なうえに,治療は緊急性を要するため,特に血漿治療を行う際は治療前に検体保存を行い,後からでも立ち返り診断を見直せるようにする.

・TMAの診断・治療には高度な専門性を要するため,すみやかに専門医へのコンサルトを行う.

◆病態と診断

A病態

・TMAは①微小血管障害性溶血性貧血(破砕赤血球を伴う貧血,ハプトグロビン値の著減,LDH上昇,間接ビリルビン上昇などを伴う),②血小板減少,③微小循環障害による臓器障害を3主徴とする疾患概念である.TMAの臓器障害として急性腎障害を呈する場合,臨床的に溶血性尿毒症症候群(HUS)と分類される.

1.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

・血小板凝集を引き起こすVWFの切断酵素であるADAMTS13は,血管内での血栓形成を抑制しているが,先天性または後天性要因によりADAMTS13活性低下によりTMAを発症する.

・先天性TTPはアップショー・シュールマン(Upshaw-Schulman)症候群ともよばれ,ADAMTS13をコードする遺伝子の病的バリアントによる酵素活性低下が原因となる.後天性ではADAMTS13に対する自己抗体の産生によりTMAを発症する.

2.STEC

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