診療支援
治療

血液疾患 最近の動向
鈴木隆浩
(北里大学主任教授・血液内科学)

◆病態と診断

A学会での主なトピックス

 造血器疾患における遺伝学的,分子生物学的研究の進歩は著しく,新たな知見が毎年のように発表されている.血液関連学会では毎年遺伝子関連のセッションが設けられ,多くの注目を集めている.

 遺伝子解析の進歩に伴って期待されるのが次世代シークエンサーを用いたクリニカルシークエンスの臨床応用である.これはすでに固形癌領域においては臨床現場で利用されているが,造血器腫瘍においても保険収載されることが期待されており,日本血液学会では「造血器腫瘍ゲノム検査ガイドライン」が策定され,検査導入に向けた環境整備が進められている.

 治療薬の進歩もめざましく,標的型抗腫瘍薬が次々に上市されている.すでに広く用いられているチロシンキナーゼ阻害薬のほか,最近では二重特異性T細胞誘導抗体薬やキメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T)療法が保険収載され,これらの薬剤についての知見が学会では数多く報告されている.特にCAR-T療法は適応疾患や提供薬剤の種類も増えており,どの薬剤をどのようなタイミングで使用すべきか,など適切な使用について議論が活発化している.

◆治療

 血液疾患に対しては,毎年多くの薬剤が新規に上市,適応追加されているが,その多くは標的型治療をコンセプトとした薬剤になっている().

A急性骨髄性白血病(AML:acute myeloid leukemia)

 AMLの標準的寛解導入療法はアントラサイクリン系薬剤とシタラビンの併用療法であり,多くの症例で寛解を得ることができるが,高齢者や合併症をもつ患者では強力な治療を行うことが難しい.そのような症例ではこれまで低用量シタラビンなどの用量減弱化学療法が行われていたが,BCL-2阻害薬であるベネトクラクスがAMLに対して適応を取得し,同じくAMLに対して適応を取得したアザシチジンあるいは低用量シタラビンと併用して投与

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