診療支援
治療

赤芽球癆
pure red cell aplasia(PRCA)
荒井俊也
(東京警察病院・血液内科副部長)

頻度 あまりみない

GL赤芽球癆診療の参照ガイド令和4年度改訂版(2023)

ニュートピックス

・新型コロナウイルス感染後の赤芽球癆発症例が報告されている.免疫抑制薬治療への反応は概して良好である.

治療のポイント

・薬剤性が疑われる場合は被疑薬を中止する.

・基礎疾患がない場合,自然軽快する可能性があるので診断から1か月間は積極的治療を控える.

・リンパ系腫瘍,固形腫瘍,自己免疫疾患が基礎にある場合はそれらの治療を進める.

・基礎疾患のない特発性や基礎疾患治療の無効例での積極的治療には,免疫抑制薬(シクロスポリンなど)や副腎皮質ステロイドを用いる.

・治療しても十分な効果が得られず赤血球輸血依存になることもある.

◆病態と診断

A病態

・赤芽球癆(PRCA)は,赤血球系造血前駆細胞の分化・増殖が阻害されることによって発症する.

・先天性と後天性に大別され,後天性PRCAは,無治療で1か月以内に改善がみられる急性型と,治療の必要な慢性型に分かれる.

・急性型は薬剤や感染による場合が多い.起因薬剤として,フェニトイン,アザチオプリン,イソニアジド,エリスロポエチンなどが挙げられる.感染では,ヒトパルボウイルスB19が有名である.

・慢性型の半数以上では,胸腺腫,リンパ系腫瘍,固形腫瘍,自己免疫疾患などの基礎疾患を認める.

B診断

・末梢血で正球性正色素性貧血網赤血球減少を認める.網赤血球は一般的に1%未満になる.

骨髄検査(吸引・生検)で赤芽球の著明な減少を認めることが診断の決め手になる.

◆治療方針

 診断と同時に薬剤性の可能性を考え,被疑薬がある場合は中止する.次に,基礎疾患の検索を行い,リンパ系腫瘍,固形腫瘍,自己免疫疾患を認める場合はそれらの治療を進める.治療により貧血の改善が期待できる.なお,胸腺腫がみつかることもあるが,胸腺腫の治療(摘出)では貧血は改善しない.内因性の基礎疾患がない場合,特に病歴か

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