頻度 あまりみない
GL造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版
治療のポイント
・日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン」に従い,予後リスクに応じた治療法を選択する.
・JAK2阻害薬ルキソリチニブにより,脾腫や全身症状の改善だけでなく,生命予後の改善も期待される.
◆病態と診断
A病態
・骨髄増殖性腫瘍の1つで,造血幹細胞レベルで生じたJAK2,CALR,MPLなどの遺伝子変異により,異常クローン由来の巨核球や単球などからの増殖因子・サイトカインの産生によって骨髄の広範な線維化などを生じ,無効造血や,末梢血での涙滴状赤血球の出現,白赤芽球症,髄外造血による巨脾などを呈する.
・病初期は,骨髄の線維化がほとんどみられず,前線維化期/早期骨髄線維症とよばれる.骨髄の線維化が進行すると,線維化期となり,骨髄の造血は低下し,肝脾腫が生じ,全身倦怠感,体重減少,夜間盗汗,微熱などの全身症状の出現がみられる.
・真性赤血球増加症や本態性血小板血症に続発して二次性骨髄線維症に進行することがある.治療方針は,原発性骨髄線維症と同じである.
・生存期間の中央値は約4年と予後不良で,主な死因は,感染症,急性白血病への移行,出血である.
B診断
・WHO分類 第5版に準じて診断する.
・診断には,骨髄生検による骨髄の線維化を確認することが必要で,病期として,線維化を認めない前線維化と線維化期に分けられる.
・80%以上の症例で,JAK2,CALR,MPL,いずれかの遺伝子変異がみられる.
・治療方針決定のため,①年齢>65歳,②持続する全身症状(発熱・夜間盗汗・体重減少など),③Hb<10g/dL,④WBC>25,000/μL,⑤末梢血の芽球≧1%の5項目のリスク因子,また,これに輸血依存,予後不良染色体の情報を加えて,予後予測スコアリングシステムによる予後予測を行う.
◆治療方針
A低リスク/中間-Ⅰリスク群
低リスク,