診療支援
治療

ホジキンリンパ腫
Hodgkin lymphoma
酒井リカ
(神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター病院長)

頻度 あまりみない

GL造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版

GL造血細胞移植ガイドライン悪性リンパ腫(成人)第3版(2019)

治療のポイント

・限局期で90%以上,進行期で約70%の患者で長期生存が期待されるが,60歳以上は若年と比較し予後不良である.

・正確な病期診断とリスク因子の評価,年齢を含む患者因子を総合的に評価した治療方針の決定が重要である.

・病期診断,治療効果判定にはPET-CT検査が推奨される.

◆病態と診断

A病態

・ホジキンリンパ腫は結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫に大別されるが,前者はきわめてまれな病型であり,本項では後者のみ取り扱う.

・ホジキンリンパ腫は,散在するHodgkin細胞,Reed-Sternberg細胞(H/RS細胞)とよばれるCD30陽性の大型腫瘍細胞とその周囲の多彩な炎症細胞の浸潤像を特徴とする病理所見を示す.

・高齢患者ではEBウイルス陽性の腫瘍細胞をしばしば認める.

・H/RS細胞においては免疫チェックポイントに関連するPD-L1やPD-L2の発現亢進が示され,免疫回避を起こしていると考えられている.

B診断

・発症年齢は若年と中高年の二峰性分布を示す.

・約75%が頸部・鎖骨上窩リンパ節腫脹で発見され,巨大縦隔病変を呈することもある.

・40%程度にB症状(発熱,盗汗,体重減少)を認める.

・臨床病期診断には,病変の分布とB症状の有無に基づくAnn Arbor分類を用いる.

◆治療方針

 進行期の予後の改善と長期生存者における晩期毒性の軽減が,治療開発の命題とされている.

A初回治療

1.限局期

 標準治療はABVD療法4コースと領域放射線照射(IFRT:involved field radiation therapy)30グレイであり,12年無増悪生存割合94%と治癒が期待される.一方で2次癌や心血管イベントによる死亡リスクが経年的

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?