頻度 あまりみない
GL輸血後鉄過剰症の診療参照ガイド(令和4年度改定版)
治療のポイント
・定期的な輸血が必要な患者を中心に過剰鉄による臓器障害が問題となり,血清フェリチン値1,000ng/mLを超える患者に対して除鉄療法が勧められる.
・デフェラシロクスによる内服鉄キレート療法を血清フェリチン値500ng/mLを目標として行う.
◆病態と診断
・鉄代謝関連遺伝子の変異による原発性(遺伝性)鉄過剰症とそれ以外の続発性鉄過剰症があり,わが国においては骨髄不全症に対する輸血の反復による輸血後鉄過剰症が大部分である.
・過剰な鉄の沈着により,肝障害・糖尿病・心不全・甲状腺機能低下症・性腺機能低下症などの臓器障害が起こる.
・鉄過剰の評価法としては肝生検やMRI検査などが正確だが,一般には血清フェリチン値を用いる.輸血後鉄過剰症は,血清フェリチン値500ng/mL以上および総赤血球輸血量20単位以上から診断する.
・原発性鉄過剰症の確定診断は遺伝子変異解析によるが,検査は保険適用となっていない.
◆治療方針
除鉄による臓器障害の回避・改善が治療の目標である.
輸血後鉄過剰症では血清フェリチン値1,000ng/mL以上(炎症合併の場合は赤血球輸血量40単位以上も参考にする)を治療開始の基準とし,血清フェリチン値500ng/mLを治療目標とする.除鉄に時間を要するため,生命予後1年未満の患者は適応とならない.原発性鉄過剰症において治療開始基準は定まっていないが,輸血後と同様の1,000ng/mL以上を目安とする.
原発性鉄過剰症および造血幹細胞移植後など完全な造血回復が得られた輸血後鉄過剰症においては,週1回200~400mLの瀉血を行う.瀉血が困難な場合,以下の鉄キレート薬による治療を行う.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.経口薬である1)を基本とするが原発性鉄過剰症では保険適用外である.
1)デフェ