頻度 あまりみない
GLWilson病診療ガイドライン2015
GL新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019
ニュートピックス
・責任遺伝子ATP7B遺伝子解析が保険収載となった.
治療のポイント
・治療には,亜鉛薬,銅キレート薬,食事療法(銅制限食),肝臓移植がある.
・発症前または安定期の症例には,食事療法+亜鉛薬の治療が考慮される.
・軽~中等度の肝障害を有する症例の初期治療についても,食事療法+亜鉛薬治療が考慮される.
・銅キレート薬と亜鉛薬の併用は相乗効果があり,重症症例における初期治療に有効であると考えられる.
・非代償性肝不全あるいは長期経過で肝癌を呈した症例は,肝臓移植の適応となる.
◆病態と診断
A病態
・ウィルソン病は,責任遺伝子ATP7Bの異常による先天性銅代謝異常である.ATP7Bの機能異常により,肝臓から胆汁中への銅の排泄障害による肝細胞中への銅蓄積が起こる.
・肝細胞の貯蔵閾値を超えたときに肝障害が生じ,血中に放出された遊離銅は,大脳基底部,角膜および腎臓,赤血球などに蓄積して障害を引き起こす.
B診断
・症状(肝障害,錐体外路症状,溶血,血尿,蛋白尿など)からウィルソン病を疑うことが第1歩であり,まず重要な検査は,血清セルロプラスミン値測定および尿中銅排泄量測定である.
・血清セルロプラスミン値低下(20mg/dL以下)と尿中銅排泄量増加(100μg/日あるいは1.5μg/kg/日以上)を認めれば,本症と診断される.
・眼科的にKayser-Fleischer角膜輪は重要な手がかりとなる.
・特殊検査としては,肝銅含量の測定とATP7B遺伝子解析がある(遺伝子診断で確定できない症例は10%程度あるので注意).
◆治療方針
ウィルソン病の治療は,銅の蓄積を防止することにある.肝機能障害のみで無症状の症例,あるいは代償性肝硬変の状態にある症例では,酢酸亜鉛単剤もしくはキ