ニュートピックス
・乳癌が線維腺腫から発生することはめったになく,40歳以上の線維腺腫関連の症例の0.02~0.125%と報告されている.
治療のポイント
・経口避妊薬,ホルモンの刺激を受けると増大することがあり,細胞診で良性と判定すれば経過観察でよい.細胞診の偽陰性に注意する.
・腫瘍径3cm以上の線維腺腫,あるいは葉状腫瘍や乳癌が疑われれば積極的に組織生検を行う.さらに,組織診断が困難でも,3cm以上であれば摘出生検を考慮する.
・葉状腫瘍が疑われれば,局所再発予防としてwide excisionを考慮する.
◆病態と診断
A病態
・病理学的には,上皮成分と間質成分がともに増殖する形態を示す混合腫瘍に分類される.また,BIRADS(breast imaging reporting and data system)のカテゴリー4以上では生検が推奨されているが,35歳未満ではさらなる画像診断法にて生検の適応を考慮する.
・典型例では,画像上は癌との鑑別は容易だが,細胞診を行うと上皮成分の増生の強い症例では,癌との鑑別が難しい場合があり,組織診断が必要である.
・病理組織像では4つの亜分類がある.
1)管内型(intracanalicular type):形態学的に高度の間質成分の増生と狭小化した管腔構造を呈する.乳管上皮の2相性は保たれている.陳旧性の病変では,間質が硝子化して大型の石灰化を伴うことがある.
2)管周囲型(pericanalicular type):円形管腔状の上皮成分の周囲に間質成分が増殖する.
3)類臓器型(organoid type):上皮成分が乳管と小葉構造への分化を示す.
4)乳腺症型(mastopathic type):上皮成分が乳腺症と同様の形態を示す.
B鑑別診断
・葉状腫瘍との鑑別が必要である.上皮性成分と間質性分がともに腫瘍性の増殖をする混合腫瘍であることが共通