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治療

アレルゲン免疫療法:舌下免疫療法
allergen immunotherapy(sublingual immunotherapy:SLIT)
伊藤 潤
(順天堂大学非常勤講師・呼吸器内科学)

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GLアレルゲン免疫療法の手引き(2022)

ニュートピックス

・既刊の「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」と「ダニアレルギーにおける免疫療法の手引き」を統合し内容を改定した「アレルゲン免疫療法の手引き」が2022年に刊行された.

治療のポイント

・舌下免疫療法の適応は現時点ではアレルギー性鼻炎のみである.

・舌下免疫療法は喘息単独には適応がないが,アレルギー性鼻炎合併喘息では喘息症状の改善効果が期待できる.

・特異的IgEが病態に関与している患者を対象とする.

・十分なアレルゲン回避指導およびその実践を並行して行う.

・治療効果が出るまでに時間がかかるが,3~5年治療を継続した場合は治療終了後も年余にわたって効果が持続する.

・スギ花粉症に対する舌下免疫療法はスギの非飛散時期に開始する.

・アレルゲン免疫療法に精通した医師がこの治療を施行する必要がある.

◆病態と診断

A作用機序

・アレルゲン免疫療法を行うことでアレルゲン特異的なTh2免疫応答の緩和,Th1型免疫反応の誘導,制御性T細胞/B細胞の誘導,アレルゲン特異的IgG4/IgA抗体の産生,Ⅰ型自然リンパ球誘導などが起こり,これらが複合的に関与して臨床的効果をもたらす.

B適応

・舌下免疫療法は喘息のみでは適応がないが,喘息症状を伴うダニアレルゲンによるアレルギー性鼻炎合併喘息や,スギ花粉症合併喘息には,喘息症状改善効果が期待できる.

・スギ花粉症およびダニアレルゲンによるアレルギー性鼻炎の診断には,臨床症状だけでなく,皮膚反応テストまたは採血検査を用いて治療の対象となる特異的IgE抗体が関与していることを確認する.

・治療効果が出るまでに時間がかかること,3~5年は治療を継続すべきであること,毎日舌下免疫を継続する必要があることが理解できる場合のみ投与を行う.

◆治療方針

 まずは症状の原因となるアレルゲンを問診および血液検査や

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