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GL咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
Ⅰ.咳喘息
治療のポイント
・咳喘息の治療は,中用量の吸入ステロイド(ICS:inhaled corticosteroid)から開始する.診断には,治療中であってもどこかの時点で,気管支拡張薬への反応性を確認する.
・咳喘息は経過中,特に無治療例では一部が典型的喘息に移行するため,継続した治療が望ましい.
◆病態と診断
A病態
・咳喘息は喘息の亜型であるが,典型的喘息と異なり息苦しさや喘鳴はなく,慢性(8週間以上続く)咳嗽のみを呈する.咳喘息の咳嗽は,軽度の気道収縮が契機となり出現する.
・2型・好酸球性気道炎症も存在し,その程度は典型的喘息と同等~軽度である.カプサイシン咳感受性は鈍い.
B診断
・肺癌,間質性肺炎,気管支肺結核など,胸部画像や聴診所見で異常を呈する疾患を除外後に咳喘息の診断を行う.
・下記1),2)の両方を満たすと咳喘息と診断される.
1)喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上* 持続,聴診上もwheezesを認めない
2)気管支拡張薬(β2 刺激薬など)が有効
* 3~8週間の遷延性咳嗽であっても診断できるが,3週間未満の急性咳嗽では原則として診断を確定させない.
・ただし,喫煙による慢性気管支炎でも気管支拡張薬で鎮咳されるため,現喫煙者では注意する.
・呼気NO高値の場合,咳喘息の可能性は高くなるが,約半数では呼気NOは正常内であり,低値でも咳喘息は否定できない.
◆治療方針
咳喘息治療の目的は,①咳嗽を軽減・消失させ日常生活のQOLを改善する,②典型的喘息への移行を抑える,の2点である.いずれも治療の主軸はICSを中心とした吸入療法であり,吸入後のうがいを含めて吸入指導を要する.しばしば咳嗽の誘因となるアレルゲンや冷気,また過労ストレスを避ける,などの生活指導も重要である.
A軽症例
Px処方例 下記のいずれかで開始する.
1)ブデソニ
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