診療支援
治療

花粉症
pollinosis
岡野光博
(国際医療福祉大学大学院教授・耳鼻咽喉科学)

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GL鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版(改訂第9版)(改訂第10版が2023年に発行予定)

GLアレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)(2021)

ニュートピックス

・スギ花粉症に対する3年間の舌下免疫療法は,治療終了後も2シーズンにわたり有効性を維持するという,薬物療法では得られない自然経過の修飾作用が示された.

・食品添加物としても使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末が,家庭用鼻腔粘膜保護材(ナサリーズ)として市販された.

治療のポイント

・花粉曝露の回避や除去を指導する.

・重症度や病型,あるいは患者の希望や治療開始時期などを考慮し,薬物療法,アレルゲン免疫療法,手術療法を選択する.

・例年,強い症状を示す症例には,抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などによる初期療法を勧める.

・標準的な薬物治療に抵抗する症例には,最適使用推進ガイドラインに則り抗IgE抗体の使用を検討する.

・スギ花粉症であれば,根治的治療としてアレルゲン免疫療法を考慮する.

◆病態と診断

A病態

・花粉症はⅠ型アレルギー疾患であり,花粉アレルゲンに対する感作がその成立に必須である.遺伝的素因および環境要因の両者が寄与する.

・少量のアレルゲン曝露による最小持続炎症と粘膜過敏性の亢進により本格的な発症をきたす.さらに発症後のアレルゲン曝露は,プライミング効果により症状の増悪をきたす.

・主な症状は,鼻症状(くしゃみ,水性鼻漏,鼻閉,鼻瘙痒感など)および眼症状(眼瘙痒感,異物感,眼脂など)である.即時相反応は,ヒスタミンによる知覚神経終末刺激からの神経反射が主体である.遅発相反応は,主に好酸球,マスト細胞,T細胞などの炎症細胞によるアレルギー性炎症による.

・鼻眼症状以外にも,下気道症状(咳,喘鳴など),全身症状(怠さ,睡眠障害など),耳症状(耳閉感など),咽喉頭症状(

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