診療支援
治療

抗糸球体基底膜抗体病(グッドパスチャー症候群)
anti-glomerular basement membrane disease,Goodpasture's syndrome
上出庸介
(国立病院機構相模原病院・呼吸器内科医長(神奈川))

頻度 あまりみない

GLエビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)ガイドライン2020

治療のポイント

・血清中または腎糸球体で抗糸球体基底膜(GBM)抗体が陽性となる.

・急速に腎不全に進行するため,すみやかな治療導入が必要である.

・全身性ステロイド,シクロホスファミド,血漿交換の早期導入が提唱され一定の効果がみられるものの,予後不良である.

・腎炎は2015年より難病法による医療費助成の対象疾患(指定難病)として認定されている.

◆病態と診断

A病態

・糸球体基底膜の自己抗体である抗GBM抗体がGBM局所で免疫複合体を形成し血管炎を惹起することにより急速進行性糸球体腎炎(RPGN:rapidly progressive glomerulonephritis)を呈する疾患である.

・抗GBM病は,腎臓のGBMを障害する抗GBM腎炎,肺毛細血管基底膜を障害する抗GBM肺胞出血,腎と肺の双方を障害するグッドパスチャー症候群,の3つがある.

B診断

1.診断基準(厚生労働省より)

1)血尿(多くは顕微鏡的血尿,まれに肉眼的血尿),蛋白尿,円柱尿などの腎炎性尿所見を認める.

2)血清抗糸球体基底膜抗体が陽性である.

3)腎生検で,糸球体係蹄壁に沿った線状の免疫グロブリンの沈着と壊死性半月体形成性糸球体腎炎を認める.

 上記の1)および2),または1)および3)を認める場合には「抗糸球体基底膜腎炎」と診断する.

2.症状

・初期は全身倦怠感,微熱,食思不振,体重減少などの非特異的な症状が多い.急速な腎障害進行症例では浮腫,乏尿がみられる.肺障害を有する症例では肺胞出血に伴う血痰や喀血がみられることがある.

3.生化学検査

・血液検査では血清クレアチニン値の急速な上昇,CRP値や赤沈上昇,白血球増多,貧血,低蛋白血症がみられる.尿所見では血尿,蛋白尿,赤血球や顆粒円柱の出現がみられる.血清中に抗GBM抗体が本疾患

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