◆病態と診断
A病態
・鼻腔と副鼻腔は上気道に含まれるが,中耳粘膜も上気道の性質をもつ.好酸球性副鼻腔炎(ECRS:eosinophilic chronic rhinosinusitis)と好酸球性中耳炎(EOM:eosinophilic otitis media)は,いずれも組織や貯留液中への好酸球の著明な浸潤を特徴としており,IL-5・IL-4/13といったTh2サイトカインが病態形成に関与する上気道のタイプ2炎症疾患である.
・両者ともに従来の治療では治らない難治性の疾患として比較的最近になり認識された.EOMの病名が提唱されたのは1995年,ECRSは2001年である.
・ECRS,EOMはともに下気道のタイプ2炎症である気管支喘息を合併することが多く,喘息の合併はEOMの診断基準の1つであり,ECRSでは重症度の判断基準の1つである.
・好酸球性ムチンとよばれる粘稠でニカワ状の貯留液が副鼻腔や中耳腔に貯留している.好酸球由来の組織障害性蛋白を豊富に含んでおり,EOMでは中耳の肉芽形成や難聴進行のリスクとなる.
B診断
・ECRSの診断はJESREC Studyによる(表1図).局所所見,CT所見,末梢血好酸球からなるスコアを算出し,さらに確定診断のためには組織中好酸球数の測定が必須である.
・EOMの診断はEOM study groupにより提唱された(表2図).貯留液中の好酸球浸潤を必須の大項目として,臨床所見からなる4つの小項目から判定される.
C難病指定
・確定診断されたECRSのうち中等症以上は指定難病の申請が可能である.重症度分類は,A項目①末梢血好酸球5%以上,②CTにて篩骨洞優位の陰影,B項目(合併症)①気管支喘息,②アスピリン不耐症,③NSAIDsアレルギーから判定される.A項目の2つとも陽性であれば中等症以上であり,A項目の2つとも陰性の場合はB項目が1つでも陽性で