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治療のポイント
・ペットとの接触あるいは浮遊しているアレルゲンに曝露されると,くしゃみ,鼻汁,眼のかゆみ,咳,喘鳴,呼吸苦,じん麻疹などを生じる.齧歯類の場合は咬傷によりアナフィラキシーを起こすこともある.
・アレルゲンは衣服について運ばれるため,飼育者との接触で症状が出ることもある.
・ネコや鳥の飼育者は食物アレルギーを発症することがある.
・実験動物を扱う職業従事者に発症する動物アレルギーとは,動物の種類が異なる.
◆病態と診断
A病態
・アレルゲンはペット(ネコ,イヌ,ハムスターなど)の尿や唾液,毛やフケに存在するリポカインや血清アルブミンで,接触や吸入により感作される.共通抗原性によって感作源以外の動物皮屑もIgE抗体が陽性となることがある.
B診断
・明らかな病歴に加え,ペット皮屑特異的IgE抗体陽性により診断する.
・IgE抗体陽性でも明らかな病歴がない場合は,皮膚試験またはコンポーネント(Fel d 1やCan f 1)を利用した血液検査(保険適用外)で診断する.ただし,感作成立後数年経過して発症する場合もある.
・ペット飼育者が即時型食物アレルギー(口腔症状,皮膚症状,呼吸器症状,消化器症状)を起こすことがあるが,十分に加熱された食品は摂取できる例もある.
1)Cat-pork症候群:ネコ飼育者が血清アルブミンに感作されると,豚肉や燻製肉などの摂取で発症する.診断にはFel d 2(保険適用外)の測定が有用.
2)Bird-egg症候群:鳥飼育者が血清アルブミンに感作されると,鶏卵,特に卵黄の摂取で発症する.診断にはGal d 5(保険適用外)の測定が有用.
◆治療方針
治療の目的はアレルギー疾患増悪の回避によるQOLの向上で,治療の基本はアレルゲンとの接触の回避である.
Aペットアレルギーを発症している場合
1.対症療法
a.接触局所のじん麻疹,くしゃみ,鼻汁の場合
抗ヒスタ