頻度 あまりみない
GL血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)
治療のポイント
・明確なマーカーが存在せず確定診断が困難な疾患であり,本疾患を疑った場合は,可能な限りすみやかに専門医にコンサルトする.
・まず,限局性か全身性か,また軽症か重症かなど疾患の病態を把握し,病態に合わせた治療の選択を行う.
・全身性の重症例では,免疫抑制薬の併用が必要となる.
◆病態と診断
A病態
・病理的には,罹患血管に好中球および単核球が浸潤するが,急性期病変としてフィブリノイド壊死と内外弾性板の断裂の存在が重要である.同一血管内に,急性期病変とともに内・中膜の線維化などの瘢痕期病変が同時に存在することも特徴とされる.
・罹患血管が中小型血管であり,これに伴う罹患部位の阻血症状が出現する.一方,血管壁が脆弱となることに伴い動脈瘤が形成され,破裂するリスクが発生する.
・欧米においてはB型肝炎との関連が報告されているが,本邦においては明確ではない.
B診断
・厚生労働省の指定難病で,厚生労働省作成の診断基準を参考に診断されることが多い.この基準は,主要症候と,組織所見,および血管造影所見を組み合わせて診断する基準となっている.
◆治療方針
結節性多発動脈炎は治療におけるエビデンスが乏しい疾患であり,治療の組み立ては,ほかの血管炎症候群でも行われている方法と同様に初期寛解導入療法と寛解維持療法に分けて考える.寛解導入療法の治療内容の決定は,疾患の重症度に応じて選択するが,ここでいう重症症例の概念としては,腎障害,心筋障害,中枢神経障害,胃腸障害などの生命に影響を及ぼすような臓器障害をもつものをさす.
A重症例における寛解導入療法
大量ステロイド加療(1.0mg/kg)で治療を開始する.緊急性がある場合はステロイドパルス療法を行うことを考慮する(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを500~1,000mg