頻度 あまりみない〔SAPHO症候群の有病率についての報告はない.掌蹠膿疱症(PPP:palmoplantar pustulosis)の日本での有病率は0.12%であり,PPP患者のうち10~30%に掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)が発症する.
GL掌蹠膿疱症性骨関節炎診療の手引き2022
ニュートピックス
・2022年に「掌蹠膿疱症性骨関節炎診療の手引き2022」が発刊され,新たな分類基準が発表,治療についても指針が示された.
治療のポイント
・PAO・SAPHO症候群では,骨関節病変の進行からADLを低下させうることを考慮し,積極的な治療が必要である.しかし,十分なエビデンスのある薬剤はなく,またこの疾患に承認された薬剤もないため,以前からの症例報告や臨床研究などを参考に行われているのが現状である.
・歯根膿瘍などの歯科治療,扁桃摘出術,禁煙により軽快する可能性があるため,薬物治療とともにまず介入すべきである.
◆病態と診断
A病態
・1974年に園嵜らが初めて,PPPに骨関節症状をきたす疾患としてPAOを報告した.PPPの10~30%にPAOを発症するといわれる.
胸鎖関節炎や脊椎・仙腸関節の炎症をきたすことがあるが,HLA-B27との関連がなく,脊椎関節炎には含まれない.
同様に皮膚病変(主にアクネなど)に骨関節症状をきたすものや,病変の分布が共通する疾患を含むグループとしてSAPHO症候群に含まれている.
・SAPHO症候群には,PAOのほかにacne-spondyloarthritisや胸肋鎖骨肥厚症(sterno-costo-clavicular ossification),慢性再発性多発性骨髄炎(chronic recurrent multifocal osteomyelitis)なども含まれる.骨関節病変は,前胸壁(胸肋鎖関節)に多く(約80%),脊椎(28~36%),仙腸関節
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