頻度 ときどきみる
ニュートピックス
・リウマチ性多発筋痛症に対するIL-6受容体阻害薬の有効性が大規模臨床試験で示された.ただし,2022年12月時点で本邦では保険適用外である.
治療のポイント
・診断時には,巨細胞性動脈炎の合併がないか,腫瘍随伴による類似症状ではないかを慎重に検討する.
・ステロイドが著効するが,減量に伴って再燃し長期服用となることも多いため,骨粗鬆症や血糖上昇など副作用対策にも留意する.
◆病態と診断
A病態
・病態は不明な点が多いが,自然免疫系の異常活性化が主病態と考えられており,Toll様受容体(Toll-like receptor)8の高発現やIL-6やIL-1βなどの炎症性サイトカイン上昇が報告されている.
・高齢者に発症するため,免疫老化とも関連すると考えられている.
B診断
・診断には2012年に米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)から提唱された分類基準を参考とする.朝のこわばり:2点,股関節痛または可動域制限:1点,リウマトイド因子(RF)/抗CCP抗体陰性:2点,肩・股関節以外の関節痛がない:1点で4点以上あればPMRと分類できる.
・超音波検査で検出される肩や股関節の滑液包炎所見も重要である.超音波検査可能な場合は,少なくとも一方の肩関節所見(三角筋下滑液包炎および/または上腕二頭筋の腱鞘滑膜炎および/または肩甲上腕の滑膜炎)および少なくとも一方の股関節所見(滑膜炎および/または転子部滑液包炎):1点,両肩の三角筋下滑液包炎または上腕二頭筋の腱鞘滑膜炎または肩甲上腕の滑膜炎:1点を,上記ACR/EULAR分類基準に加えて,5点以上あれば分類される.
・1979年に提唱されたBirdの基準も簡便に用いることができ参考となる.①両肩の疼痛および/またはこわばり,②2週間以内の急性発症,③赤沈値40mm/時以上,④1時間以上持続する朝のこわば