頻度 あまりみない
治療のポイント
・寛解導入時には重症度に応じて副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬,生物学的製剤の使用を考慮する.
・寛解維持期には副腎皮質ステロイドの漸減中止を試みる.必要があれば免疫抑制薬を使用する.
◆病態と診断
A病態
・再発性多発軟骨炎は主に全身の軟骨構造,特に耳,鼻,目,関節,呼吸器などに炎症を起こす自己免疫,自己炎症性疾患である.耳介の炎症,鞍鼻様の変形など軟骨破壊が典型的な症状である.
・病因病態として,軟骨の細胞外マトリックス成分に対する自己免疫および微小血管の血管炎が想定されている.約1/3が軟骨炎以外の全身性血管炎,リウマチ性疾患,炎症性腸疾患,自己免疫疾患を有する.
・本邦では男性患者の73%にUBA1遺伝子の体細胞変異が報告され,変異例では軟骨炎以外の全身症状を示す.UBA1遺伝子の体細胞変異は自己炎症性疾患VEXAS症候群の原因であり,特に骨髄異形成症候群を伴う再発性多発軟骨炎はVEXAS症候群の部分症状である可能性がある.
・VEXAS症候群は,男性の成年後期に発症する発熱,血球減少,骨髄球前駆細胞と赤血球前駆細胞の特徴的な空胞,骨髄異形成,皮膚と肺の好中球性炎症,軟骨炎,血管炎などを伴う自己炎症性症候群である.
B診断
・厚労省指定難病診断基準においては,①両側性の耳介軟骨炎,②非びらん性,血清陰性,炎症性多発性関節炎,③鼻軟骨炎,④眼の炎症(結膜炎,角膜炎,強膜炎,上強膜炎,ぶどう膜炎),⑤気道軟骨炎(喉頭あるいは気管・気管支の軟骨炎),⑥蝸牛あるいは前庭機能障害(神経性難聴,耳鳴,めまい),のうち3項目陽性,または1項目陽性と確定的組織診断,または解剖学的に離れた2か所の軟骨炎とグルココルチコイドやダプソン治療への反応により診断される.
・基本的に症候診断であるため,除外診断が重要であり,治療の強度を決定するためにも罹患臓器検索が重要である.
・上気
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/セレコキシブ《セレコックス》
- 治療薬マニュアル2024/ジアフェニルスルホン《レクチゾール プロトゲン》
- 治療薬マニュアル2024/プレドニゾロン《プレドニン プレドニゾロン プレドニゾロン プレドニゾロン》
- 治療薬マニュアル2024/メトトレキサート《メトジェクト リウマトレックス》
- 治療薬マニュアル2024/アザチオプリン《アザニン イムラン》
- 治療薬マニュアル2024/タクロリムス水和物《プログラフ》
- 治療薬マニュアル2024/アダリムマブ(遺伝子組換え)《ヒュミラ》
- 治療薬マニュアル2024/トシリズマブ(遺伝子組換え)《アクテムラ》
- 治療薬マニュアル2024/シクロホスファミド水和物《エンドキサン》
- 治療薬マニュアル2024/メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム《ソル・メドロール》