診療支援
治療

好酸球性筋膜炎
eosinophilic fasciitis(Shulman's syndrome)
土橋浩章
(香川大学医学部附属病院膠原病・リウマチ内科・病院教授)

頻度 あまりみない

GL好酸球性筋膜炎 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン(2016)

GL全身性強皮症・限局性強皮症・好酸球性筋膜炎・硬化性萎縮性苔癬の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン(2017)

治療のポイント

・皮膚硬化の残存や関節拘縮によるADLの低下が起こらないように,早期に治療介入する.

・治療は副腎皮質ステロイドが基本となるが,治療抵抗例や副腎皮質ステロイドの継続が困難な場合には免疫抑制薬を併用する.

・関節の拘縮予防または改善のためにリハビリテーションを促す.

◆病態と診断

A病態

・四肢を中心として対称性に,板状の皮膚硬化関節の運動制限を,急性あるいは亜急性に発症する.

・好発年齢は30~60歳代で,男女比はやや男性に多い.

・病理組織学的には好酸球浸潤が特徴的であるが,局所的かつ一過性のこともあり診断に必須ではない.

・皮膚症状として,皮膚が硬くなることで静脈部分が凹む(groove sign)所見や,四肢の皮膚表面に凹凸(orange peel sign)の所見がみられる.

B診断

・日本皮膚科学会が提案した好酸球性筋膜炎診断基準(2016)を参考に行う.

・大項目である「四肢の対称性の板状硬化(ただしレイノー現象を欠き全身性強皮症を除外しうる)」と小項目である「筋膜を含めた皮膚生検像で,筋膜の肥厚を伴う皮下結合織の線維化と好酸球,単核球の細胞浸潤」または「MRIなどの画像検査で筋膜の肥厚」のどちらかを満たせば診断確定となる.

◆治療方針

 副腎皮質ステロイドが原則である.また,副腎皮質ステロイドで効果不十分な場合や関節拘縮などをきたす場合にはステロイドパルス療法が選択されることもある.ステロイド抵抗性の場合には,免疫抑制薬(メトトレキサート,ミコフェノール酸モフェチル,アザチオプリン,シクロスポリン,シクロホスファミド)の有効性が報告されているが,保険適用外である.そのほ

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