診療支援
治療

複合性局所疼痛症候群(反射性交感神経性ジストロフィー)
complex regional pain syndrome(reflex sympathetic dystrophy)
平田信太郎
(広島大学病院教授・リウマチ・膠原病科)

頻度 あまりみない

GLペインクリニック治療指針 改訂第7版(2023)

GL神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版(2016)

GL慢性疼痛診療ガイドライン(2021)

ニュートピックス

・後根神経節刺激療法の有効性がランダム化比較試験で示された.

治療のポイント

・複合性局所疼痛症候群(CRPS:complex regional pain syndrome)とは,外傷や手術による組織損傷後,創傷が治癒したあとにも疼痛が遷延する一連の病態を指す.

・CRPSを疑う場合は,確定診断を待つことなく直ちに投薬や神経ブロック,リハビリテーションなどの集学的治療を開始する.

◆病態と診断

A病態

・外傷や手術後に,遷延する激しい疼痛や腫脹をきたす.

・以前は反射性交感神経性ジストロフィーやカウザルギー(causalgia),肩手症候群などとよばれたが,1994年世界疼痛学会でCRPSに統一された.

・男女比1:3.4と,女性により多い.

・外傷性神経障害性疼痛に分類され,誘因は骨折や捻挫,手術が多いが,心筋梗塞後や自然発症例もみられる.

・捻挫などの軽微な外傷でも発症する場合がある.

・関節リウマチなどの鑑別対象に挙げられるが,炎症が主病態ではない.

・明らかな末梢神経損傷のないⅠ型と,末梢神経損傷のあるⅡ型に分類される.

・神経支配領域(デルマトーム)と無関係に疼痛が出現する.

B診断

・1994年のIASP(国際疼痛学会)のCRPS診断基準,および,2008年厚生労働省研究班による複合性局所疼痛症候群のための判定指標が用いられる.以下に示す.

1.1994年のIASP(国際疼痛学会)のCRPS診断基準

1)原因となる傷害と不釣り合いな強い持続痛,アロディニア,痛覚過敏

2)病期のいずれかの時期において疼痛部位に浮腫,皮膚血流の変化,発汗異常のいずれかが存在

3)上記症状を説明できる他の原因がないこと

2.2008年厚生

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