GL脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]
ニュートピックス
・脳底動脈閉塞や広範囲脳梗塞に対する血栓回収療法の有効性が証明された.
治療のポイント
・脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞に対する血栓回収療法は,標準的治療である.
・くも膜下出血の出血早期に血管内治療を施行する.
・破裂リスクの高い未破裂脳動脈瘤に対して,協議のうえで脳血管内治療を含む最適な治療を選択する.
・頸動脈狭窄症に対して,頸動脈ステント留置術を考慮する.
A急性期脳梗塞に対する血栓回収療法
1.適応
発症または最終健常確認から24時間以内の脳主幹動脈(内頸動脈,中大脳動脈水平部,脳底動脈)閉塞による急性期脳梗塞.
2.手技
ステント型血栓回収機器(ステントリトリーバー)や血栓吸引カテーテルを用いて閉塞した血管の血栓を回収し,再灌流を得る.
3.成績
治療開始が早いほど,90日後の日常生活自立度が改善する.症候性頭蓋内出血や死亡のリスクは増加しない.
Bくも膜下出血に対する瘤内コイル塞栓術
1.適応
破裂脳動脈瘤の部位,形状,大きさなどにより瘤内コイル塞栓術が施行可能と判断されるくも膜下出血.
2.手技
破裂した脳動脈瘤内をコイルで塞栓し,再出血を防ぐ.
3.成績
外科的治療と血管内治療のいずれも可能な破裂脳動脈瘤患者における治療後1年での無障害生存率は血管内治療群で有意に高かったが,再治療率と完全閉塞は外科的治療のほうが成績良好であった.
C未破裂脳動脈瘤に対する血管内治療
1.適応
最大径が5~7mm以上の場合,5mm以下でも脳動脈瘤による圧迫症状がある・前交通動脈および内頸動脈-後交通動脈分岐部・不整形などの特徴を有する場合には,専門医による協議のうえで治療を考慮する.
2.手技
コイル塞栓術,ステント支援コイル塞栓術,フローダイバーター留置術などにより,瘤内を血栓化させて破裂を予防する.
3.成績
後遺症・死亡率は約2~3%