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GL脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]
治療のポイント
・突然の頭痛はくも膜下出血を疑うべきである.
・頭部CTで診断困難な場合,頭部MRIや腰椎穿刺を実施する.
・発症後早期,特に6時間以内は再出血が多く,その場合には致命的となりうる.
・安静を保ち,侵襲的な検査や処置を避け,十分な鎮痛,鎮静,降圧を行う.
・脳神経外科専門医による緊急手術が必要であり,専門施設にすみやかに搬送する.
・破裂脳動脈瘤の治療後,脳血管れん縮の予防と治療を行う.
◆病態と診断
A病態
・原因の90%以上が脳動脈瘤破裂であり,ほかに脳動静脈奇形,もやもや病,頭部外傷などがある.また,原因不明の場合もある.
・突然の頭痛で発症することが多く,嘔吐やけいれんを伴うことがある.重症例では意識障害をきたす.麻痺を伴わないことが多い.
・再出血は発症6時間以内に多く,予後不良となる.
・発症4~14日後に脳血管れん縮による脳梗塞をきたすことがある.
・全体として予後不良患者は50%に及ぶ.
B診断
・時刻を特定できる突然の頭痛ではくも膜下出血を疑うべきである.
・頭痛がほとんどない場合もある.一方,突然の意識障害や心肺停止で発症する場合もあるため注意する.
・発症3日以内は頭部単純CTの診断感度が100%に近いが,徐々に低下し1週間後には50%程度となる.
・CTで出血が検出できない場合はMRI(FLAIR像,T2* 強調像)を行う.
・MRIでも検出できない場合に腰椎穿刺が行われる.十分な鎮静下で熟練した医師が担当すべきである.
◆治療方針
初療では脳動脈瘤の再破裂を避けるため安静を保ち,侵襲的検査や処置を避け,十分な鎮痛,鎮静,降圧を行う.重症度分類(Hunt & Kosnik,WFNSグレードなど)で軽症(グレードⅠ~Ⅲ)の場合が脳動脈瘤根治術の対象とされているが,最近では,重症(グレードⅣ,Ⅴ)にも根治術が行