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GL頭部外科治療・管理のガイドライン第4版(2019)
GLてんかん診療ガイドライン2018
ニュートピックス
・反復性軽度頭部外傷によって引き起こされる慢性外傷性脳症が社会的問題となりつつある.
治療のポイント
・各種症状に対する対症療法が基本.
・外傷性てんかんに対する抗てんかん薬の予防的投与は否定されている.
・高次脳機能障害が疑われる場合,脳画像検査および神経心理検査を行ったうえで社会的支援やリハビリテーションを提供する.
◆病態と診断
A病態
・脳損傷の原因として脳挫傷,びまん性軸索損傷,急性硬膜外血腫,急性硬膜下血腫,外傷性くも膜下出血,脳震盪などが挙げられる.
・亜急性期(受傷後2週間~1か月まで)以降は,外傷性てんかん,高次脳機能障害が顕在化する場合がある.
・慢性期(受傷後半年~1年まで)には,心的ストレス外傷後障害(PTSD),頭部外傷後うつ病,人格変化などの精神症状が出現する場合がある.
・晩期(受傷後1年~数十年)には,慢性外傷性脳症(主に反復性軽度頭部外傷),頭部外傷後精神病が問題となる.
B診断
・脳MRI,頭部CTなどにより頭部外傷後遺症の原因と考えられる器質的病変を確認する.急性期の脳MRI,頭部CTも確認して比較を行うとよい.
・脳挫傷後の晩期脳画像所見として,T1低信号,T2高信号を示す局所ないし広範な挫滅瘢痕や脳萎縮が認められる(前頭葉や側頭葉の先端部と底部に多い).
・びまん性軸索損傷の晩期脳画像所見として,脳室拡大やびまん性脳萎縮,脳梁萎縮,脳幹部萎縮がみられる.受傷後1~2か月で出現し,数か月~数年をかけて進行する.
・びまん性軸索損傷に特徴的とされる白質内の微小出血の検出にはT2* 強調画像や磁化率強調画像が優れており,晩期でも信頼できる検査法である.
・外傷性てんかんが疑われる場合は脳波検査を定期的に行う.非てんかん性(心因性)発作が疑われる場合