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GL標準的神経治療:自律神経症候に対する治療(2016)
GL脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018
治療のポイント
・自律神経障害は日常臨床ではあまり注意を払われないので積極的な問診が重要である.
・まず第一に障害の原因となっている薬剤がないかを調べ,次に非薬物療法(日常生活指導)を試みる.
・非薬物療法で効果がみられない場合に薬物療法を考慮する.
・起立性低血圧と排尿障害は特に患者のQOLに影響を及ぼすため,対策が重要である.
Ⅰ.起立性低血圧
◆病態と診断
A病態
・起立時に重力によって約700mLの血液量が下半身,主に内臓血管に移動するが,圧反射によって交感神経の活性化と末梢血管抵抗の増大が起こり,心臓の前負荷の減少を補っている.自律神経障害でこれらの代償反応が失われることで血圧が低下する.
B診断
・ふらつき,めまい,霧視,コートハンガー痛(後頸部から肩にかけての痛み)などが起こり,臥位によりすみやかに消失する.転倒,失神,時に全身けいれんも起こす.
・起立後3分以内の20mmHg以上の収縮期血圧,または10mmHg以上の拡張期血圧の持続的な低下として定義.
◆治療方針
治療目標は症状緩和と生活の質の改善であり,血圧の正常化は期待できない.
A日常生活指導
水分摂取(2~2.5L/日)・塩分摂取(最大9g/日)の励行,飲酒の制限など.日本神経学会の「パーキンソン病診療ガイドライン2018」第3編,第5章も参照されたい.
B薬物治療
末梢血管抵抗の増加と循環血漿量増大の2つのアプローチがある.
Px処方例 下記1)~3)もしくは4)を単剤から始め,症状に合わせて併用し,重度の場合は5)も考慮する.
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