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治療のポイント
・鉄欠乏の有無や,症状を悪化させる要因を十分に考慮して非薬物療法を行ったうえで,薬物療法を行う.
・ドパミン作動薬が第1選択であり,必要に応じてガバペンチンエナカルビルなどを併用する.
・ドパミン作動薬は少量での投与が基本であり,用量の増加・長期投与によりオーグメンテーションとよばれる症状の増強が生じることに注意する.
◆病態と診断
A病態
・中枢神経系のドパミン機能異常を背景とする,感覚運動障害である.
・病態には,中枢の鉄欠乏や,ドパミン機能異常が想定されているが,まだ十分に解明されていない.
・1次性RLSは発症年齢が若く,小児期より発症する場合には,半数以上で家族歴がある.
・2次性RLSの背景としては,鉄欠乏性貧血,胃切除後,腎不全,妊娠,神経疾患,リウマチ性疾患,薬剤性などがある.
B診断
・診断は,「睡眠障害国際分類(第3版)」の診断基準に基づいて臨床的に診断する.①「脚を動かしたい強い衝動・欲求」があり,それが②安静時に生じたり増悪する,③脚を動かすことにより消失・改善する,④夕方から夜に症状が生じたり増強する,という特徴より診断される.脚を動かしたい強い衝動・欲求に加えて,下肢の不快感や異常感覚を訴えることも多いが,前者の症状を有することが必須である.
・診断を支持する所見としては,睡眠時周期性四肢運動,ドパミン系薬剤への反応性,家族歴,日中の強い眠気がない点が挙げられている.
・生化学的診断マーカーはないが,鉄欠乏の指標として血清フェリチン値を測定し,50ng/mL以下を目安に鉄剤の投与を考慮する.
・診断のための睡眠検査(終夜睡眠ポリグラフィ)は必ずしも必要ではないが,併存する睡眠時周期性四肢運動による睡眠の障害の判定に有効である.
・2次性RLSにおいては,腰椎疾患や末梢神経障害などによる異常感覚がRLSの異常感覚と類似している場合(RLS mimi