診療支援
治療

ギラン・バレー症候群
Guillain-Barré syndrome(GBS)
内堀 歩
(杏林大学講師・脳神経内科学)

頻度 あまりみない(発症率は人口10万対年間1.15人)

GLギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン2013

ニュートピックス

・GBSでは,約70%が先行感染症状後に神経症状を発症する.近年の話題としてCOVID-19に関連してGBSを発症する症例があり,その臨床像として約7割が古典的GBS(左右対称性の急性の四肢筋力低下を中核症状とし,感覚障害を伴う)を呈し,電気生理学的分類には約6~7割が急性炎症性脱髄性ポリニューロパチー(AIDP:acute inflammatory demyelinating polyneuropathy)を示すとされる.

治療のポイント

・先行感染後の急性進行性の四肢筋力低下など,特徴的な病歴からGBSを考えた際は,すみやかに専門医の診療を受けるのが望ましい.

・治療が必要な重症例では,できるだけ早期に治療を開始する.

・直ちに治療開始とならなくても,症状が急激に進行している場合には,呼吸筋麻痺や血圧変動,致死性不整脈などの自律神経症状の合併を考慮し,呼吸・循環動態のモニタリングやICU管理を検討する.

・臨床的予後関連因子をスコア化した予後予測ツールとして,GBS発症後3,6か月の独歩不能を予測するmodified EGOS(mEGOS)と,1週間以内に人工呼吸器管理となる可能性を予測するEGRISがあり,治療方針決定や病状説明に役立つ.

◆病態と診断

A病態

・約70%で胃腸炎や上気道炎などの先行感染の病歴がある.最も多い感染病原体はカンピロバクター(Campylobacter jejuni)で,鶏生肉摂取後に下痢を呈することが多い.その他上気道症状を示すサイトメガロウイルスや伝染性単核球症(EBウイルス),最近ではジカウイルスやSARS-CoV-2が先行感染病原体として挙げられる.

・先行感染に対する免疫応答に関連して糖脂質抗体が産生され,神経

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