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GL筋強直性ジストロフィー診療ガイドライン2020
治療のポイント
・心臓伝導障害,呼吸不全などの主要な障害について定期的検査を行い,適切に治療する.
・患者家族の半数が罹患者であるため,家族全体のケアについても考える.
◆病態と診断
A病態
・日本では1型が大部分である.
・発症時期より先天型,小児型,成人(古典)型,軽症型に分けられる.
・成人型では筋強直と進行性筋力低下が特徴であるが,小児型では学習障害などが目立つ.
・常染色体性顕性遺伝であるが,親より子の世代で重症になる(表現促進現象)ため,遺伝性と気づかれにくい.特に母親罹患で,フロッピーインファントを呈する先天型の出生がみられる.
・呼吸不全,誤嚥性肺炎,致死性不整脈が予後に関与する.
・白内障,高次脳機能障害,性格変化,過剰な眠気,心臓伝導障害,耐糖能障害,脂質・肝機能異常,消化管平滑筋障害,性腺機能障害,良性・悪性腫瘍の合併がみられる.
B診断
・成人型では西洋斧様顔貌,胸鎖乳突筋・前腕・下腿の筋力低下と萎縮,筋強直(把握ミオトニーや叩打ミオトニー)などから,本症を疑えば典型例の診断は容易である.
・針筋電図でミオトニー放電を確認する.
・確定は遺伝子診断(1型は保険適用)だが,十分に説明のうえ行う.
・軽症例,小児例では,家族歴聴取が重要.
◆治療方針
根本治療はまだない.突然死も多い.呼吸不全,誤嚥性肺炎,致死性不整脈が生命予後に関与する.
A筋症状
筋力低下に対し,理学療法や適切な装具処方を行う.筋強直には,保温やウォーミングアップが有効.症状が強いときに限り薬物治療を行う.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.少量から開始し,心臓伝導障害に注意する.