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GL認知症疾患診療ガイドライン 2017
GLかかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)(2015)
ニュートピックス
・「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立した(2023年6月14日).
治療のポイント
・BPSD(認知症の行動・心理症状)は患者本人のADLやQOLを低下させるだけでなく,介護負担を増大させ介護者のQOLも低下させるため,早期の適切な介入が必要である.
・まず環境調節や疾病教育を含む非薬物療法を検討し,十分な効果が得られない場合は,慎重に薬物療法を検討する.
・同時に出現している複数のBPSDのなかから治療をすべき標的症状を厳密に定めて,できるだけ理論的な仮説から治療方法を選択する.
・感染症,心不全,脱水,便秘,疼痛など2次的にBPSDを悪化させる身体的要因の早期発見と管理,BPSDに影響する薬剤の減量や服薬管理も重要である.
◆病態と診断
・初期のアルツハイマー病においては60%以上に1つ以上のBPSDがみられ,その後の3年間の経過のなかでまったくBPSDを認めなかった例は8.5%に過ぎなかったという報告があるように,アルツハイマー病においてBPSDは高頻度にみられる.
・特にアパシーと抑うつは,アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)の段階から高頻度にみられるBPSDである.
・アルツハイマー病の初期から中期にかけては,物盗られ妄想が高頻度に認められる.
・多くのBPSDは脳の変性,併存する血管障害,介護環境などとの相互作用によって出現すると考えられている.
・BPSDには,拒絶,不穏,興奮,暴言,暴力,徘徊,性的逸脱行為などの行動症状と,不安,焦燥,うつ,幻覚,妄想などの心理症状がある.
・アルツハイマー型認知症の多彩なBPSDの評価には,Neuropsychia