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GL統合失調症薬物治療ガイドライン2022
治療のポイント
・初回エピソードで重要なことは,精神症症状の出現から治療開始までの期間(精神症未治療期間)を短縮し,すみやかな寛解と機能維持,良好な服薬アドヒアランスを保つことである.
・患者および家族の不安や混乱,困惑といった精神的負担にも注意を向け,長期的な治療も見据えて患者・家族-医療者間の治療関係・信頼関係の構築をはかることが重要となる.
◆病態と診断
A病態
・思春期・青年期に発症し,幻覚,妄想,まとまりのない行動などの陽性症状や,感情鈍麻や自閉傾向などの陰性症状を呈する.また多くに,精神症症状が出現する前から記憶,注意,知覚情報処理などの認知機能の低下が存在する.
・発症率は一般で約0.7%であり,遺伝因と環境因の影響により,ドーパミンなどの神経伝達の異常といった神経シナプスの機能障害が病因として想定されている.
B診断
・陽性症状や陰性症状などの特徴的な症状が半年以上持続することや,社会機能の低下が生ずること,そして他の精神疾患だけでなく,身体疾患や物質の影響を除外する必要がある.
◆治療方針
A薬物療法
初回エピソードでは,副作用が少ない非鎮静系の第2世代抗精神病薬を第1選択とし,精神症状だけでなく身体状態の評価も行いながら適宜増量し,2~4週間で効果判定を行う.投与量は,治療有効用量下限を目標に,服薬アドヒアランスを向上させることで再発予防につなげる.
Px処方例 下記1)~3)のいずれかで開始する.
1)ブレクスピプラゾール(レキサルティ薬)OD錠(1mg) 1回1錠 1日1回 就寝前
2)ルラシドン(ラツーダ薬)錠(20mg) 1回1錠 1日1回 夕食後
3)パリペリドン(インヴェガ薬)徐放錠(3mg) 1回1錠 1日1回 朝食後
興奮時,拒絶が強いときには,4)~6)のいずれかを用いる.
4)アセナピン(シクレスト薬)舌下錠