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GL日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症) 2023
治療のポイント
・家族など周囲が対処しきれないときは精神科への入院を急ぐ.
・薬物療法が必須で,気分安定薬・非定型抗精神病薬の単剤もしくは併用療法を行う.
・再燃・再発の多い疾患のため,躁状態が重症であるか,2回以上認めた場合は,長期間の再発予防療法が必要.
◆病態と診断
・双極症は,高揚気分,自尊心肥大,易怒性,睡眠欲求減少,談話促迫,観念奔逸,過活動や社会的逸脱行動を認める躁状態と,うつ状態を繰り返す精神疾患である.
・上記症状が1週間以上続き,社会的機能が顕著に損なわれている場合(入院を要するなら持続期間は関係ない)双極症Ⅰ型の躁状態と診断する.
◆治療方針
躁状態では病識がほぼなく,服薬アドヒアランスは著しく不良となる.逸脱した行動によりトラブルに発展することも多く,結果的に離婚や失職など患者の社会的生命が失われかねないため,早急に入院治療に踏み切る.軽躁状態は外来で薬物調整を行う.
A躁状態急性期の治療
気分安定薬を選択するが即効性に乏しいため,軽症例を除き非定型抗精神病薬を併用する.重篤で拒薬傾向が強い場合は,非定型抗精神病薬単剤で治療開始する.投薬回数は極力少なくし,1日1回投与が望ましい.就寝前服用が望ましいが,それが難しい場合は内服可能な時間でよい.
Px処方例 下記の気分安定薬1),2)のいずれかと,非定型抗精神病薬3),4)のいずれかの併用または単剤で治療する.1)は治療有効域と中毒域の血中濃度が近接しているため,投与初期は週に1回程度を目安に血中濃度を測定し,トラフ値が1.0mEq/L前後となるように処方量を調整する.