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GL慢性疼痛診療ガイドライン(2021)
ニュートピックス
・2022年のレビューによると筋膜(deep fascia)の剛性の変化が疼痛の慢性化に関与する.
治療のポイント
・頸部由来の症状と自律神経障害による症状を分離して検討する.
・薬物療法のみならず,運動療法が重要である.
・治療によって症状が改善したあとも,適切な生活習慣によるコントロールが重要である.
◆病態と診断
A病態
・事務作業などによる長時間の不動,前屈を中心とした不良姿勢の継続により,頸部周囲筋が緊張することによって,頸部から上肢にかけたしびれ,疼痛,こりが発生する.慢性疼痛,自律神経障害が合併することも多い.
・持続する頸部周囲の筋緊張と心的ストレスによって末梢あるいは,中枢性の疼痛感作が促進してしまう可能性が考えられる.近年,組織間に存在する疎性結合組織で構成されるdeep fasciaの剛性の変化が慢性疼痛に関与するともいわれている.
B診断
・頸部痛,神経根支配と一致しない上肢のしびれに加え,頭痛,眼痛,肩こり,不眠,めまい,吐き気などの自律神経障害が合併することがある.
・単純X線など画像診断が有用であることは少なく,頸部,脳MRIが鑑別診断として有用である.
・しびれ,痛みの部位と疼痛誘発姿勢をもとにして診断することが大切である.
◆治療方針
A急性期の治療
発症後間もない急性期には,疼痛部位と圧痛,運動時痛を明確にして疼痛処置を行う.MRIにて組織障害がない場合には安静の排除と早期社会復帰を促しながら,慢性疼痛に移行しないよう留意して治療にあたることが重要である.自律神経症状を伴う場合には,運動療法は特に重要となる.
1.内服加療
a.頸部痛のみで上肢しびれがない場合
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)アセトアミノフェン(カロナール薬)錠(200mg) 1回2錠 1日2回 7日間
2)ロキソプロフェン(ロキ