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ニュートピックス
・ロボティックテクノロジーを用いた人工膝関節置換術が徐々に普及してきている.
治療のポイント
・治療の目標は膝関節痛の緩和や膝関節機能の維持,ADLとQOLの改善である.
・生活様式を変更し,関節への負担の軽減と体重過多では減量を基本とし,自己管理と患者主体の治療を心がける.
・保存的治療を開始し,ADLやQOLが低下する場合には外科的治療を考慮する.
◆病態と診断
A病態
・加齢などによって関節軟骨の変性や摩耗を生じ,軟骨下骨の硬化や増殖性変化,滑膜炎をきたす疾患である.
・わが国の有病者数は2,500万人,有症者数は800万人以上である.また有病率は女性が男性の2倍で,55歳頃から増加し,80歳以上の女性の80%が罹患している.
・明らかな原因のない1次性と,関節リウマチ(RA),特発性骨壊死,代謝性疾患,外傷などによる2次性があり,1次性が多い.
・鑑別診断は脆弱性骨折,結晶誘発性関節炎(痛風,偽痛風),化膿性関節炎,神経病性関節症(シャルコー関節)などである.
・危険因子としては年齢,性別,体重過多,遺伝的素因と,関節不安定性,関節外傷,関節の過度な力学的ストレスなどの局所的要因が挙げられる.
・立ち上がりや歩き始めの膝関節痛や可動域制限を生じる.膝の内側が主に障害される内側型OAが多く,進行するとO脚変形をきたす.
B診断
・単純X線像で,関節裂隙の狭小化,軟骨下骨の硬化像,骨棘の形成,骨嚢胞の形成を評価し,Kellgren-Lawrence(KL)分類で,grade 0(正常)からgrade 4(高度)までの病期分類を行う.
◆治療方針
A保存的治療
2019年版Osteoarthritis Research Society International(OARSI)のガイドラインを指標とする.
B非薬物療法
疼痛を誘発しない範囲で,定期的な有酸素運動や大腿四頭筋など