診療支援
治療

腰椎椎間板ヘルニア
lumbar disc herniation
松林嘉孝
(国立国際医療研究センター病院・脊椎外科科長(東京))

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GL腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版

治療のポイント

・画像所見と臨床症状(下肢痛の範囲,筋力低下)が合致していることが大切.

・まずは保存加療(内服,ブロック)を行い,無効例(3割程度)に手術を検討する.

・高度麻痺や排尿障害では緊急手術も検討する.

◆病態と診断

A病態

・腰椎椎間板の線維輪が破綻して髄核が脊柱管側に突出し,馬尾あるいは神経根を圧迫することで,下肢痛,下肢筋力低下,排尿排便障害などの症状を引き起こす.

B診断

・dermatomeに沿った主に片側の下肢痛,SLR(straight leg raising)テストなどが診断の補助となるが,確定診断には腰椎単純MRIで症状に一致したレベルの椎間板突出を確認する.

・若年者では腰痛の合併が比較的多いとされるが,画像のみから腰痛との関連を判断するのは困難であり,診断は慎重に行う必要がある.

・解剖学的な髄核の突出の程度により,protrusion(膨隆のみ),subligamentous extrusion(靭帯穿破しない),transligamentous extrusion(靭帯を穿破),sequestration(髄核が脊柱管内に遊離)に分けられる.突出部位により,正中,傍正中,椎間孔内,椎間孔外に分けられる.

◆治療方針

A保存加療

 まず3か月程度は内服・選択的神経根ブロックなど保存加療で経過をみることが多い.疼痛が強く内服と神経根ブロックでも日常生活が困難であったり,早期仕事復帰希望などの社会的な理由では,早期に手術加療を行う適応となる.

 MRIで椎間板ヘルニアを確認でき,疼痛が強い場合は仙骨硬膜外ブロックや高位診断を兼ねて選択的神経根ブロックを考慮する.

Px処方例 下記1)を用い,症状に応じ2)または3)に変更もしくは追加する.慢性の腰痛がある場合は4)を用いる.

1)セレコキシブ(セレコック

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