診療支援
治療

高齢者の関節リウマチ
rheumatoid arthritis in older adults
岸本暢將
(杏林大学准教授・腎臓・リウマチ膠原病内科学)

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GL関節リウマチ診療ガイドライン2020

治療のポイント

・高齢者では,合併症(腎障害,間質性肺炎,肝障害など)や併存症も多く,多剤併用に伴うコンプライアンスの低下,副作用の増加や薬剤相互作用にも注意が必要となる.

・NSAIDsの副作用(消化性潰瘍,腎機能低下,血圧上昇,心血管疾患のリスクが増加),グルココルチコイド(GC)薬の副作用も考慮し,高齢者ではより副作用リスクは高いため,それら薬剤の使用は極力避け,必要であれば必要最小量として,副作用予防対策も行う.

・Over-treatmentに注意は必要であるが,合併症の増加に伴う感染症のリスク増加を懸念しUnder-treatmentとなる結果疾患コントロールが不十分となることも問題とされており,リスクベネフィットを考慮し適切に抗リウマチ薬を使用する.

◆病態と診断

A病態

・高齢人口増加により,高齢発症RA(LORA:late-onset RA)および長期罹病のRA患者の高齢化もあり,高齢者のRA患者は増加している.

B診断

・LORAでは,若年発症RA(YORA:young-onset RA)患者と同様手足指の小関節の多関節炎で緩徐に発症することが多いが,急性または亜急性に肩や膝などの大関節から発症することもあり,高齢者に頻度の高いリウマチ性多発筋痛症(PMR)や多関節型のピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)沈着症による慢性関節炎患者との鑑別が困難となる場合がある.

・手足背側の圧痕性浮腫を特徴としGC薬が著効するRS3PE(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)様に強い手指腱鞘炎および滑膜炎で発症する場合もLORA患者の数%に認められ,鑑別として重要である.

・全身症状を伴うことも多く,感染症や悪性腫瘍との鑑別も必要となる.

・手足

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