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ニュートピックス
・矢状面のグローバルアライメント異常がADLやQOLと関連する.
・手術治療は障害や痛みを大幅に軽減しQOLを向上させる.
治療のポイント
・疼痛管理と機能維持を目標とする.
・保存治療または手術治療が行われ,保存治療が優先される.
・薬物療法は疼痛管理に有効である.
・保存治療が無効の場合,手術治療を検討する.
◆病態と診断
A病態
・高齢者の脊柱変形には,de-novo側弯症(骨成熟後に発症した変性側弯症),矢状面のグローバルアライメント異常を伴う後弯症,特発性側弯症の遺残,脊椎固定術後の医原性後弯症,骨脆弱性椎体骨折などの外傷後脊椎変形があり,病因は一様でない.
・De-novo側弯症の発症時の平均年齢は70~75歳,50歳以上の成人における有病率は約6%といわれている.特発性側弯症とは異なり腰椎に限局していることが多い.骨と軟部組織の退行性変化から生じる慢性疾患で,しばしば脊柱不安定症や神経根症,脊柱管狭窄症を引き起こす.
・高齢者の脊柱変形に最も特徴的な症状は,矢状面でのバランス不良に伴う腰痛である.さらに立位よりも歩行時に脊柱変形が悪化する傾向があり,腰痛が出現し歩き続けられなくなる腰痛性間欠跛行を呈するものもいる.なかには脊柱変形による神経根や馬尾の圧迫により神経障害性疼痛を伴うこともある.
・若年者の脊柱変形よりも自己イメージの評価が低く,心理的ストレスを抱えることが多い.
B診断
・グローバルアライメントを評価するため,立位の全脊柱正面および側面のX線像を撮影する.
・MRIにより神経根や馬尾,脊髄神経の圧迫の有無を評価する.
・骨密度により骨脆弱性を評価する.
・臨床評価,治療成績評価のため健康関連QOL(HRQOL)評価を行う.
◆治療方針
保存治療と外科治療があり,前者が優先される.保存治療の効果がなく,疼痛,麻痺,機能障害,または脊柱変形の進行によりAD