診療支援
治療

副腎腫瘍
adrenal tumor
井川 掌
(久留米大学教授・泌尿器科学)

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GL内分泌非活性副腎腫瘍診療ガイドライン2022年版

ニュートピックス

・ロボット支援副腎摘除術が保険適用となった.

・手術が適応とならない原発性アルドステロン症に対して,ラジオ波焼灼術が保険適用になった.

・難治性褐色細胞腫に対する131I-MIBG内照射療法が保険適用となった.

・「内分泌非活性副腎腫瘍診療ガイドライン 2022年版」が刊行された.

治療のポイント

・内分泌活性の評価が必須であり,その有無で治療選択と管理方針が変わってくる.

・内分泌活性を有する機能性副腎腫瘍に対する第1選択治療は外科的摘除であるが,腫瘍の性質に応じた周術期管理が必要かつ重要である.

・非機能性腫瘍では経過観察を基本とするが,①腫瘍の増大速度が速い,②腫瘍径が4cm以上,③画像で周囲への浸潤傾向を認める場合には悪性腫瘍を疑い,外科的摘除を考慮する.

◆病態と診断

A病態

・由来により皮質腫瘍,髄質腫瘍とその他の腫瘍,内分泌活性の有無により機能性腫瘍と非機能性腫瘍に分類される.組織学的には副腎皮質腺腫が最も多い.

・臨床的に重要な皮質腫瘍による病態として原発性アルドステロン症,クッシング症候群,サブクリニカルクッシング症候群,副腎皮質癌が,また髄質腫瘍として褐色細胞腫が挙げられる.

・副腎疾患の診断を意図しない画像検査で偶然発見された副腎偶発腫瘍が近年増加しているが,その約半数が非機能性腺腫であり,治療を必要としないことが多い.

・悪性腫瘍はまれであるが,主なものとして副腎皮質癌,転移性腫瘍,悪性リンパ腫が挙げられる.また褐色細胞腫は2017年のWHO分類以来,悪性腫瘍として位置づけられた.

・褐色細胞腫ではRETVHLなど複数の遺伝子変異が報告されている.多発内分泌腫瘍症2型,von Hippel Lindau病に併発することがある.

・ホルモン分泌過剰により高血圧,肥満,糖尿病など当該ホルモンの作用

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