診療支援
治療

腎細胞癌
renal cell carcinoma
高木敏男
(東京女子医科大学教授・泌尿器科学)

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GL腎癌診療ガイドライン2017年版

ニュートピックス

・根治的腎摘除術におけるロボット支援(内視鏡手術用支援機器)手術が保険収載された.

・術後補助療法としてペムブロリズマブ投与が保険収載された.

治療のポイント

・限局性腎腫瘍に対しては根治的手術(腎部分切除術,根治的腎摘除術)が望まれる.

・進行性および転移を有する腎細胞癌に対しては免疫チェックポイント阻害薬を中心とする薬物治療が標準的治療である.

◆病態と診断

A病態

・日本においては,腎細胞癌は10万人あたり8~9人が発症し,男性が女性より多い(約3:1).

・維持透析患者は一般人口よりも発症頻度が高い.

・肥満,喫煙,高血圧がリスクファクターとしてあげられる.

・Von-Hippel-Lindau病やBirt-Hogg-Dube症候群などの遺伝性疾患に併発することがある.

B診断

・古典的3徴(疼痛,血尿,腹部腫瘤)を契機に診断されることはまれであり,そのような症例は進行癌であることが多い.

・健康診断,他疾患の精査目的の腹部超音波やCTにて発見されることが多い.

・そのため,小径腎細胞癌が増えている

・画像検査としては造影CTが推奨されている

・画像上良悪性鑑別困難な症例や,薬物治療を行ううえでの確定診断目的でのCT下生検を行う場合がある.

◆治療方針

 転移を有さない,根治手術可能な症例は,根治手術(根治的腎摘除術,腎温存手術)が推奨されている.切除不能,ないし転移を有する症例に対しては全身薬物治療が推奨されている.ただし,転移を有するが原発巣が(腎)摘除可能な症例については,症例ごとにcytoreductive nephrectomyを検討する.

A転移を有しない症例

1.T1a

 腎部分切除術が推奨されている.近年ではロボット補助腹腔鏡下腎部分切除術が広く行われている.3cm以下の症例では凍結療法が選択される場合がある.

2.T1

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