診療支援
治療

アトピー性皮膚炎
atopic dermatitis
波多野豊
(大分大学教授・皮膚科学)

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GLアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021年版

ニュートピックス

・全身療法薬として,ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(デュピルマブ)に加えて,ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体(ネモリズマブ)やJAK阻害薬(バリシチニブ,ウパダシチニブ,アブロシチニブ)が導入された.

・新たな外用薬(デルゴシチニブ外用薬やジファミラスト外用薬)が導入された.

治療のポイント

・早期寛解導入と長期寛解維持が基本的な考え方である.

・寛解導入期と長期寛解維持期の両者において適切な外用療法の実践が必須である.

・適切な外用治療のみで寛解導入や長期寛解維持が困難な場合は,積極的に全身療法の導入を考慮するなどして,漫然と炎症を遷延させない.

・寛解導入や長期寛解維持が困難な場合は,診断の見直し,環境因子や精神的要因などの悪化因子についての検討と対策を考慮する.

・治療のゴールを明示し,患者との信頼関係を構築することにより,治療に対するアドヒアランスの向上と維持に努める.

◆病態と診断

A病態

・「皮膚バリア機能異常」「アレルギー性炎症」「かゆみ」の3つの要素が悪循環を形成する.

・皮疹のコントロール不良による皮膚バリア機能低下は,アレルギーマーチの誘導や皮膚感染症の原因となりうる.

・特に顔面の皮膚炎に対する繰り返しの掻爬(機械的刺激)や慢性の炎症は,白内障や網膜剥離,アレルギー性結膜炎の発症や悪化を招く.

B診断

・日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」に記載されている診断基準によると,「かゆみ」「特徴的な皮疹の分布」「慢性・反復性の経過(乳児では2か月以上,その他では6か月以上)」の3項目を満たす場合にアトピー性皮膚炎と診断する.皮疹は,乳児期,幼少期,思春期以降で異なる特徴があり,急性期か慢性期かによっても異なる.

・いわゆる,アトピー素因(気管支喘息やア

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