診療支援
治療

ベーチェット病(皮膚科)
Behçet's disease
室 慶直
(名古屋大学医学部附属病院診療教授・皮膚科)

頻度 あまりみない

GLベーチェット病診療ガイドライン2020

GLベーチェット病の皮膚粘膜病変診療ガイドライン(2018)

ニュートピックス

・アプレミラストのベーチェット病(BD)における効能・効果は「局所療法で効果不十分な口腔潰瘍」に限定されるが,最近のメタアナリシスの結果,他の皮膚症状にも有効であることが示された.

治療のポイント

・皮膚症状については,基本的に外用療法が第1選択となる.

・皮膚症状に対する全身療法としては,好中球活性化を抑制するコルヒチン(保険適用外)が中心になる.

・皮膚症状に対するTNF阻害薬などの生物学的製剤使用は今後の検討課題である.

◆病態と診断

A病態

口腔内アフタ外陰部潰瘍,皮膚症状,眼症状を主徴とする,全身に多彩な病変が反復性に出現する炎症性疾患である.

・遺伝的素因としてHLA-B51HLA-A26といったHLA遺伝子のほかに,ERAP1IL23R/IL12RB2IL10などの疾患感受性遺伝子が次々と報告されている.

・環境因子として口腔内細菌(特にレンサ球菌群)に対する局所の初期防御,初期免疫である自然免疫系の活性化が発症に関与することが示唆されている.

・獲得免疫の異常としてはTh1/Th17優位のサイトカイン産生があり,IL-17はBDにおける好中球機能亢進の一因とも考えられている.

B診断

・本邦では厚生労働省調査研究班による診断基準が主に用いられる.

・①口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍,②皮膚症状(結節性紅斑,皮下の血栓性静脈炎,毛嚢炎様皮疹または痤瘡様皮疹),③眼症状(ぶどう膜炎など),④外陰部潰瘍,の4つを主症状とし,さらに5つの副症状(関節炎,副睾丸炎,消化器病変,血管病変,中枢神経病変)を加味して,完全型/不全型/疑い,に分類し,さらに特殊型として腸管型/血管型/神経型BDと分類する.

・参考所見としては,針反応,炎症反応(赤沈値,血清

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