診療支援
治療

皮膚癌
non-melanoma skin cancer
門野岳史
(聖マリアンナ医科大学主任教授・皮膚科学)

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GL皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版(2022)

ニュートピックス

・抗PD-1抗体のセミプリマブを有棘細胞癌に対して術前アジュバントとして用いた第Ⅱ相試験では,約半数で病理学的完全奏効が得られた.

治療のポイント

・皮膚癌の種類,部位,進行度,年齢,患者の希望に応じて治療を選択する.

・手術療法を中心として,外用療法,放射線療法,化学療法などの治療法を適宜組み合わせる.

◆病態と診断

・主な皮膚癌は以下の通りであり,一般に生検によって病理組織学的に診断する.なお,皮膚悪性リンパ腫(),悪性黒色腫()は別項に譲る.

A日光角化症

・顔面など露光部を中心に角化性紅斑やびらんが出現し,しばしば多発する.

・表皮基底層を中心に異型な表皮角化細胞がみられ,有棘細胞癌の前癌病変とされる.

Bボーエン病

・四肢を中心に赤褐色の角化性紅斑が出現する.

・異型を伴う表皮角化細胞が表皮ほぼ全層にみられ,有棘細胞癌の表皮内癌とされる.

・ヒ素やヒトパピローマウイルス(HPV)と関連し,特に手指に生じた例ではHPVによるものが多い.

C有棘細胞癌

・頭頸部など露光部を中心に紅色の結節や潰瘍を形成する表皮角化細胞由来の扁平上皮癌.

・異型を伴う表皮角化細胞が表皮を越えて浸潤し,しばしばリンパ節転移や内臓転移をきたす.

・前駆病変として日光角化症やボーエン病があり,本邦では高齢化に伴い増加傾向にある.

D基底細胞癌

・頭頸部など露光部に圧倒的に多くみられる基底細胞様細胞由来の悪性腫瘍.

・黒色結節の場合が多く,しばしば辺縁が堤防状に隆起し,中央が陥凹する.局所破壊性を有するが,転移はきわめてまれである.

E乳房外パジェット病

・外陰部,肛囲,腋窩に好発し,地図状の赤褐色斑や脱色素斑がみられ,進行とともにびらん,結節が出現する.

・アポクリン汗腺由来とされ,胞体が大型で明るいパジェット細胞が表皮基底層を中心に胞巣を形成する.

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