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治療のポイント
・月経困難症は月経に随伴して起こる下腹部痛,腰痛などの強い疼痛を主体とする疾患である.
・器質的原因のない機能性月経困難症と,子宮内膜症や子宮筋腫などの器質的疾患に伴う器質性月経困難症とに分類される.
・機能性月経困難症の疼痛症状に対して,薬物療法が優先される.
◆病態と診断
A病態
・症状は下腹部痛,腰痛,腹部膨満感,嘔気,頭痛,疲労・脱力感,食欲不振,いらいら,抑うつなどであり,月経に随伴して起こる.
・器質性月経困難症は子宮内膜症,子宮筋腫,子宮腺筋症,子宮奇形などの器質的疾患に伴うものである.
・子宮内膜で産生されるプロスタグランジンなどによる子宮の過剰収縮や血管れん縮が原因とされている.
・慢性骨盤痛は「6か月以上持続する骨盤内に限局した痛み」である.子宮内膜症や骨盤内感染症などの婦人科疾患以外に,間質性膀胱炎,骨盤内うっ血症候群,過敏性腸症候群,身体表現性障害など原因は多岐にわたる.
B診断
1.問診
・初経年齢,初経後~最近までの月経状態,痛みの程度や部位,持続時間,鎮痛薬などの内服歴などを聴取する.
2.診察・検査
・内診・直腸診と超音波検査(経腟超音波検査が望ましい)により器質的疾患の有無を検索する.子宮筋腫,子宮内膜症などの器質的疾患が疑われた場合には,骨盤MRI検査を行う.骨盤内感染症を除外するために腟分泌物培養,クラミジアPCR検査を行う.
・慢性骨盤痛であればさらに消化管内視鏡検査,膀胱鏡検査などを行う.骨盤うっ血症候群は経子宮静脈造影で骨盤内静脈への造影剤滞留,卵巣静脈径の拡張や卵巣静脈の蛇行などを確認する.
◆治療方針
機能性月経困難症の第1選択はNSAIDsを中心とした対症療法であるが,十分な疼痛緩和が得られない場合にはホルモン療法を行う.器質性月経困難症および慢性骨盤痛では原疾患の治療が優先される.詳細は各項を参照されたい.
Px処方例 下記の