頻度 よくみる
ニュートピックス
・閉経後の女性ホルモン低下に伴う外陰部・腟の萎縮変化およびそれに伴う身体症状として,局所の所見として外陰腟萎縮(VVA:vulvovaginal atrophy),全身的な症状症候群として閉経後性器尿路症候群(GSM:genitourinary syndrome of menopause)という概念が提唱されている.
・近年,腟のかゆみ・乾燥・性交痛・尿漏れなどの症状の改善を目的として,自由診療で炭酸ガスフラクショナルレーザーを用いた施術が行われている.
治療のポイント
・外陰や腟の疼痛・瘙痒感は頻度が高く,若年者から高齢者まで幅広くみられる.
・外陰や腟の疼痛・瘙痒感を認める疾患は,良性・炎症性疾患が主であるが,まれに外陰パジェット病などの悪性疾患のことがあり,その鑑別が重要である.しかしながら,早期では外陰炎との鑑別が困難であり,ステロイド治療などが奏効しない悪性の可能性を念頭におき,皮膚生検による診断を考慮する.
・扁平苔癬や硬化性苔癬は外陰部に強い瘙痒感を伴う.ステロイド治療が基本であるが,難治性の場合は悪性腫瘍が発生することがある.
・視診では明らかな所見がない外陰痛も高齢者によくみられる疾患である.しばしば難治性であり,患者の訴えをよく傾聴し,慢性疼痛との観点から治療する.
Ⅰ.バルトリン腺疾患
◆病態と診断
・腟入口部の5時・7時方向に存在するバルトリン腺が感染,機械的刺激,分娩時裂傷などにより,腺開口部が閉鎖することにより分泌物が貯留し,排泄管および腺自体が拡大することによって発生する嚢胞である.片側の大陰唇の後半部に増大した弾力性のある無痛性の腫瘤を形成し,視診・触診により診断は容易である.感染すると発赤,疼痛を伴う膿瘍になる.
・鑑別疾患には,外陰部の粉瘤,線維腫,脂肪腫,スキーン腺嚢胞,腟壁嚢腫がある.充実性部分を認める場合には,まれにバルト
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