診療支援
治療

異所性妊娠
ectopic pregnancy
銘苅桂子
(琉球大学病院教授・周産母子センター)

頻度 よくみる(6~20/1,000妊娠)

GL産婦人科診療ガイドライン 産科編2023

ニュートピックス

・帝王切開の増加により,帝王切開瘢痕部妊娠が増加している.

・体外受精・胚移植の増加により,子宮内外同時妊娠が増加傾向にある.

治療のポイント

・最も重要なポイントは疑うことであり,生殖年齢にある女性が腹痛と性器出血を訴えている場合は,尿妊娠反応を確認し,産婦人科の手術が可能な施設への搬送を検討する.

・異所性妊娠を診断または疑い,腹腔内出血を認め,循環動態が安定しない場合は緊急手術を要する.

・手術療法,待機療法,メトトレキサート(MTX)療法があるが,患者の状態,妊娠部位の腫瘤の大きさ,患者の希望などさまざまな点を考慮し治療法を決定する.

◆病態と診断

A病態

・異所性妊娠とは,子宮外に受精卵が着床した状態であり,異所性妊娠のうちおよそ96%は卵管に着床した卵管妊娠である.まれではあるが,子宮頸管,卵管間質部,帝王切開瘢痕部,子宮筋層内,卵巣,腹膜に着床するものがある.

・子宮外に着床した部位が破裂すると,生命にかかわる出血をきたすことがある.

B診断

・異所性妊娠は疑うことが最も重要である.生殖年齢の女性が腹痛や性器出血を訴えて受診した場合は妊娠反応を確認する.妊娠反応陽性で,経腟(経腹)超音波で子宮内に胎嚢を確認できず,子宮外に血腫形成や腹腔内への出血を認めた場合に診断する.

・妊娠反応陽性で腹痛や性器出血を認めた場合の鑑別診断としては,自然流産,絨毛膜下血腫(切迫流産),子宮頸部ポリープ,絨毛性疾患がある.

◆治療方針

A卵管妊娠

1.手術療法

 卵管妊娠を診断または疑い,腹腔内出血を認め,循環動態が安定しない場合は緊急手術を要する.循環動態が安定していても,腹腔内出血を認める場合や,卵管妊娠部位の腫瘤が大きく破裂の可能性が高い場合,その後の妊娠を体外受精・胚移植にて予定している場合,子宮内外同

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